インド・スタートアップ状況(2025年6月)
2025年6月のインド・スタートアップ・エコシステムは、堅調な推移を見せました。月間の資金調達額は9億5,800万ドルで、前月(11億4,000万ドル)と比較して16%の減少となりました。これは、2025年上半期において、月間資金調達額が10億ドルを下回った3回目のケースです。
セクター別動向
6月の大きなトレンドとして、防衛テクノロジーおよび先進的ハードウェア分野への投資家の注目が高まったことが挙げられます。6月最終週だけで、4社の先進技術系スタートアップが合計1億1,350万ドルの資金調達を達成しました。Inc42が発表した「6月注目のスタートアップ30社」においても、AI、EV、バイオテクノロジー、ゲーム分野に加えて、防衛テクノロジーの台頭が特筆されています。一方で、フィンテックとEコマースは引き続き投資家に人気のある分野として堅調な資金流入が見られ、6月第1週にはフィンテックが最も多くの案件を集めました。
地域別動向
今月も、バンガロールが最大のスタートアップ投資先としての地位を維持し、GIVAやSnitchといった企業による大型案件により、月間総資金の約3分の1を占めました。次点はデリーNCR地域で、Noida拠点のRaphe mPhibrと、デリーに拠点を置くWIOMによる資金調達が全体を押し上げました。ムンバイも堅調で、今月3番目に多い資金を集めた地域となっています。
主な取引
- Raphe mPhibr(ドローンテック)
拠点:ノイダ/調達額:1億ドル
ディフェンステック分野における注目度の高まりを象徴する案件です。 - GIVA(Eコマース)
拠点:バンガロール/調達額:6,200万ドル
D2C型ジュエリーブランドとして成長資金を確保しました。 - Snitch(D2Cファッション)
拠点:バンガロール/調達額:4,100万ドル(約34.15億円)
メンズファッション分野のSeries Bラウンドとして実施。 - WIOM(通信)
拠点:デリー/調達額:3,500万ドル
Bertelsmann India Investments や Accel などの著名投資家から出資を受けました。 - Battery Smart(EVインフラ)
拠点:グルグラム/調達額:3,000万ドル(約24.76億円)
バッテリー交換ネットワークを展開するEVインフラ企業。
2025年上半期のインド・スタートアップ市場における総資金調達額は約57億2,000万ドルに達しました。Tracxnの最新レポートによると、インドは米国・英国に次ぐ世界第3位のスタートアップ投資先として位置付けられています。また、Inc42の2025年上半期レポートでも、前年比8%増の調達実績が報告されており、市場の成長持続性を裏付けています。